犬が歩けど猿は当たらぬ〜ドンカスターグレイハウンド〜

 相変わらず題名のセンスがない。

 まあ,それはさておき,無事ドンカスター駅に到着しました。駅は思ってたよりすいております。やはり皆さん車移動ですかね。

 で,ここからドンカスターグレイハウンドに向かいます。ドンカスターグレイハウンドには,事前に行き方を問い合わせるメールを送ってたんですが,さくっと無視されました。非英語圏の方が対応がいいのは,非英語圏の方が英語のメールが目立つからなのかな。まあ,よく分からないけれど,GoogleMapさんを頼れば到着するはず。ネットにはちゃんとレースもアップされてるからレースも開催されるはず。

 てことで,電車はHatfield & Stainforthに到着しました。駅の南側がHatfield,北側がStainforthという2つの町の真ん中にある駅だからこういう名前になっております。燕三条みたいだな。Hatfieldが前にくるにあたっては両者間で激しい争いがあったのだろうか。ダービーみたいにコイントスで名前を決めたりしたのだろうか。
 なお,駅に着いて電車のドアが開くまで若干時間があり,「あれ,もしかして手動でドア開けるのか。このガキどもここで降りずにここにたまってるだけか」と不安になったためにドアが開くのを待っていた子供たちを若干押しのけてドアに向かって進んでしまったことをここで謝罪いたします。こんなところで謝罪されても困るだろうけど。ほんとすまんかった。

ドンカスター駅にて
案外本数が多い
路線図 ホームに電車が来ました 世界の車窓から
正しいイギリスの田舎,という雰囲気です
車内

 そんなわけで,子供たちに「これだから日本人はせわしない」と思われてないか,若干後ろめたくはありつつも,とりあえずグレイハウンドコースを目指します。
 駅からの道は非常に簡単。GoogleMapさんもいるので迷いません。まあ,当然人通りはないですが(子供たちには迎えが来てました),まあ明るいうちは危険な空気は特に感じませんでした。上の道に行くのに若干ショートカットがてら草の道を通りますが,まあそこも明るければ無問題。暗いと女性なら怖いかもしれんけど,とりあえずこういう感覚の麻痺した自分なら特に変な空気は感じませんでした。

 で,広い駐車場を突っ切って,無事到着であります。
 なお,こんなところに歩いてくる人はおそらくほとんどいないからなのか,駅からここまで案内は皆無であります。

陸橋からホームを見下ろす ショートカットの道から
もときた駅への道を見る
跨線橋から駅を見下ろす 到着! Welcome to Doncaster
Greyhound Stadium!!
駐車場の奥がスタンド

 それこそ近くにある競馬場でセントレジャーが開催されたあとですが,競馬場に縁のなさそうな(失礼)人々が入口で列を作っておりました。
 入場料は5.50ポンド。これでも1000円超えてきます。ううむ。50ペンスはなんなんだ,中途半端だな。なお,写真を見ていてConcession割引があることに気付きましたが,国際学生証で割り引けるのかどうかは当然確かめておりません。なお,レープロは自動でついてきます。

 そして,ゲートを抜けたあたりで悲しいお知らせ。カメラの電池が悲鳴を上げました。ああ,これだから予備電池の豊富な単3カメラを使いたいんだよもう。なんで無駄に単3乾電池を8本持って歩いてるんだ俺は。
 というわけで,以下,死にかけの電池でカメラを動かしつつ,スマホのカメラを使って写真を撮りつつ自分の記憶を喚起していくことになります。

入口には行列 入口は狭い
回転バーのゲートに
荷物が突っかかります
入った先はスタンド裏側
ぐるっと回ってコースであります
レープロ
タダなだけあって
白黒であります
中はこんな感じでシンプルです

 てことで,スタンドをぐるっと回ると,コースが現れます。そして,スタンドと観客席!興奮しますね!これでカメラがフル稼働ならよかったんだが。
 一目見て分かることは,観客席と書きつつ完全立ち見スタンド。椅子はありません。スタンドも,安っぽい鉄の階段であります。木の桟敷とかでもない。よって,ある意味風情はゼロです。でも,風情がゼロなのがかえって風情だといえるのではないでしょうか。同じく立ち見席だったけどきれいだったドンカスター競馬場のClockTowerStandなんかと比べると。

 そして,スタンドに入ります。
 スタンド1階は,主として入口が2つあり,1つは奥の馬券じゃなかった犬券売り場スペースへのもの。もう1つが,カフェテリアスペースや2階への階段がある入口。
 スタンドに入ると,奥から犬の鳴き声が聞こえてきます。なんとなく,これを聞いて悲しいと思ってしまいました。馬の鳴き声を聞いてもそんな感情は一切わいてこないのに,なぜ犬だと鳴き声を聞いて悲しく思えてしまうのだろうか。ちょっと心理学かなにかの専門家に見解を聞いてみたい。
 そして,まずは食事。カフェテリアでバーガーを買います。自分的にはバーガーとチップスを買ったつもりなのですが,チップスはついてきませんでした。よく分からんけど余計なカロリーを摂取せずに済んだので,肯定的に考えておきます。



スタンド前の観戦席
非常にシンプルであります
中に入るとこんな棚が
In memory of
Barbara Tompkinsとあります
どうも,ダービーを2勝等の
著名なトレーナーのようです
(とりあえずこれ発見
あとたぶんこれの著者)
1階の廊下的な場所に椅子があり
ここで食事を取ることができます
とりあえずここで食事ゲット
そういえばこの手の場所でハンバーガーに
タマネギ挟まれたのはここくらいしか記憶にない
ホットドッグにはすぐに挟んでくるのに

 そんなわけで,一見して非常に庶民的な場所であります。が,もちろんそんな庶民を相手にしていても儲かりませんので,当然リッチな方々を相手にした場所もあります。
 てことで,2階は非常に競馬場的な雰囲気。バーがあり,酒も振る舞われております。席はホームページで予約できるはずですが,空いていればその日に乗り込んでもとれるのではないかと思います。まあ,詳しい制度には興味はない。とりあえず,グレイハウンドを見に来る金持ちいる,というわけですな。でも,全般的に着ている服は普通の服だし,やはり庶民的な印象が強いです。
 ダービーの日にこういう場所に行ったらまた雰囲気も大きく異なるのでしょうが,とりあえず一般開催の日はこんな感じでしたよ,ということになります。

 とりあえず,競馬のように「Memberしか入れない場所」というのは見つかりませんでした。やはり庶民の遊びなのではないかと。比較のためにも,ダービーなどのビッグレースの日に行ってみたいですな。

入口 2階への階段 階段の先にある絵
光が反射して見づらいけど
レースしてる犬の絵ですね
2階の様子 こんな感じで中からコースを見渡せます Reserved

 ところで。最近カジノがらみで日本でもギャンブル依存症問題が喧しいですが(カジノと関係なくJRAあたりが音頭を取るべき問題だと思うけど,まあそれは脇に置く),Greyhoundではこれ関連の告知が目立ちました。競馬ではほとんど見ないので,別にイギリスが国家的に(タバコみたいに)ギャンブル対して厳しい,というわけではなく,おそらくグレイハウンドががんばっているのだろうと推察します(調べてないので違うかも)。グレイハウンドが,特に動物愛護の観点からいろいろと批判されているのは知っておりましたが,やっぱりギャンブルである以上こっちの問題もありますよね。
 勝手に妄想を膨らませると,貴族的色彩の強く,歴史的にも各人が持ち馬を競走させていた上での競馬に比べて,ドッグレースは庶民的でギャンブルのためのギャンブルの側面が強く,ギャンブル反対・ギャンブルによる弊害抑止という観点からの批判を受けやすいのではないかと。
 まあ,いずれにしても,本来はこういうのはきちんと国家的にやらんといかん問題だろうと思うので,そのへんはまだイギリスもそこまでに至っていないのだろうな,というのが滞在2日目時点での推論であります。こんなのしかるべき場所に聞けばあっさりと現状が分かるんだろうけど。

Responsible Gambling 配布されていたパンフレット

 さて。馬券ならぬ犬券売り場はとりあえず1階奥のスペースにあります。イギリスだけあって,パリミチュエル方式で売っている場所(おそらくは主催者がやってると思われますが,いまいちよく分からなかった)と,ブックメーカーが3社並んでいます。こんな狭い部屋にブックメーカーが3社も並んでいると,簡単に横の比較ができてしまいますね。
 なお,競馬とは異なり,ブックメーカーよりもパリミチュエル方式の販売窓口の方が多くの客を集めてました。オッズは特に比較していないので,どっちがお買い得な傾向が強いのかはわかりません。なお,グレイハウンドは基本的に6頭立てで,6頭立てで単勝メインの売り方をしていたら何が起こるかは競艇を見るまでもなく明らか。というわけで,ブックメーカーを見ていると,特定の単勝は売ってなかったりして,とりあえずやはり利益が期待できるものだけ売り,それを売ることでそれなりのオッズもつけられる,という好循環を生もうとしているのではないかと勝手に想像するところです。

犬券売り場のある部屋
奥のShopは一般客向けと言うより
犬の飼料など,トレーナー向けの店でした
公式窓口 ブックメーカー 脇にある
カジノ?のような機械

 まあ,スタンド自体は小さいし,まあ入場者数もたかがしれております。公式窓口+ブックメーカーで計4窓口しかないけれど,普通に買えるしな。
 なお,いまいちグレイハウンドのシステムが分かってませんが,レープロを見ている限り,オーナーとトレーナーが一致しているケースが非常に多い。自分で犬を買って自分で育ててレースに出すわけですな。まあ,ある意味原始的な競馬に近いのかもしれない。あるいは,フィリピン闘鶏にも近いものがある。
 そしてそれゆえ,奥の店みたいに,飼料を売ってる店があったりするんではなかろうかと。としたときに気になるのが賞金ですが,とりあえず今レープロの写真を見る限り,1レースの1着賞金が40,その他出走犬に15,10レースの1着が80なので,一般戦でがんばってもせいぜい1〜2万円にしかなりません。なお,表記右側の「BGRF」というのはおそらくBritish Greyhound Racing Fundのことなんですが,この30ポンドがなんなのかイマイチ分かりませんでした。もしかしたら,1レース開催するごとに主催者からFundに30ポンド寄付してますよアピールかもしれない。
 あと,レープロ最後に「Reserved」という項目がありました。おそらくは,出走取り消しがあった場合に補充するための犬なのではないかと推察しますが,補充するってったってレベルの違いとかもあるだろうし,ちょっとどういう仕組みなのかは分かりません。

トレーナーの連絡板
犬が売りに出てます
Bitch of the Month
たぶん月間MVP的な感じ
10レース Reserved ほかに乗せる場所がないので
唐突にトイレ。
きれいでした
ナイターではあるけれど
子連れ客もおります

 そんなわけで,レースです。
 レースは6頭立て。なんといっても,ゲートが6頭用のゲートしかありません。順番が前後しますが,スタートはゲート方式です。ゲートというか,ゲージといったほうが正しいのかもしれません。いずれにしても,コースに設置されている白いブツに1頭1頭入れられ,そこからスタートすることになります。

 もちろん(?),パドック的なものはありません。ということは,予想の手助けとなるのは過去の成績のみです。これだけトレーナーが一般人化してしまうと,新聞なりなんなりがトレーナーからコメントをとることもできないしな。
 ううむ,これ,みんな本当に過去の成績だけで予想してるのかな?なんか正直,よく分かりません。この手のギャンブルの楽しみ方は人それぞれでしょうが,これだけ予想ファクターが限定されちゃうとさすがになんだかな,という気がします。

 さて,レースになりますと,遠くから犬が人間に連れられてやってきます。このとき犬と一緒に歩いているのがトレーナーなのか主催者側の人なのかは分かりません。
 そして,各犬,ゴール裏(サッカーみたいな表現だな)でなにかやります。おそらくは出走犬の最終確認ではないかと思うんですが,よく分かりません。草競馬だったらここで塩を蒔いたりとかあるんだろうけど,ここイギリスでそういうことをやってるとも思えない。まあ,カメラが生きてればズームでもうちょっとなにかできたんでしょうが,残念なことにそういう技を完全に封じられてしまっているのでありました。
 で,上述の通り,各犬,ゲージなりゲートなりに入れられます。どのタイミングで犬のリードが外されてるのかはスタンドからはちょっとよく分からず。

 あと,距離は2種類。450mと483m。人間様からするとたった33mではありますが,犬からするとこの33mというのがいったいどの程度のものなのかはちょっと分かりません。なお,450mだけ走ってる犬よりも,両方の距離を走ってる犬の方が多く,それゆえレープロの過去のレースのタイムを一見して比較しづらくなっております。いかんせん33mしか違わないからタイムが大きく変わらない。せめて色分けとかフォント分けとかなんかうまいレープロの作り方がありそうなもんなのだけれど,気にならないのかなあ。

 てなわけで,ぶつぶつと,自分の犬券が当たらなかったいいわけを繰り広げさせていただきましたが,まあ負け犬の遠吠えです。犬のレースを見に行った猿が負け犬の遠吠えをしてるんだから,世界は複雑ですな。わぉぉぉん。

コース全景 こっちが450mスタート こっちが483mスタート ゴール地点
WinningPostはやはり簡素
馬場ならぬ犬馬整備
雰囲気はほんと日本の草競馬に近いものがある
スタートゲート(ゲージ?) 本馬場ならぬ本犬場入場
なにかをやってるのだが,何をやってるのかが分からない
入場中 コースに入る ゲートセッティング中 前を閉じている
最初から閉めておいたら
いいようにも思えるが…
ゲートイン完了 係員待避中 旗が振られる
誰に向かって振ってるのか
よく分からない
旗手待避
 
スタートしました! コースレコード一覧など
これを見る限り275mから
910mまで,かなりの
バリエーションがあります
すっかり日が落ちました 暗い中,犬は走る 犬券 オッズ表示
これを見る限り,
公式窓口での売り上げは
たかがしてれますな…

 そんなわけで,翌日のバースへ向け,早めに移動開始しないといけないので4レースが終わったところで退散。
 なお,こんなに早くオケラになる奴は想定されていないらしく,帰りの出口の鍵が閉まっててぶーすにいたおじさんに開けてもらう羽目になりました。
 なにはともあれ,イギリス2日目にして競馬場とグレイハウンド,両方見て回れたのは非常によかった。

ひっそりとした出口 と,入口

 さて,人通りのない道を駅に向かって進みます。無事,貞操を守って駅に到着。誰もいないだろうと思って舐めてたらほかにも待ってる人がいてちょっとびっくりしました。
 そして,想定より1本早いドンカスター行きの電車に乗ってしまったため,ドンカスターで乗り換え。想定していない時間に電車が来ると,「もしかして盛大に遅延しているのではないか」と不安になるから困ります。

さらば! ドンカスターで乗り換え で,Rotherhamへ

 てことで,無事,Rotherhamに到着。

ドンカスター競馬バース競馬へのバスへ


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