エプソムターフ〜エプソム競馬場訪問記その1(競馬場に入るまで)

 エプソム競馬場。日本で競馬をやっていれば、少なくとも一度は耳にしたことのある競馬場です。
 東京競馬場と提携して、東京ではエプソムカップが開催されておりますし、東京競馬場の競馬博物館前にはエプソム競馬場を模した広場があります。もうJRAからの刷り込みに近い形で、「エプソム競馬場は競馬の聖地である」と言われて育ってきているのであります。
 そして、今日、エプソム競馬場に向かいます。

 庶民の味方、チェルシーのスタンフォードブリッジから、貴族の社交場、エプソム競馬場へと、一気に階級を上げる旅行であります。
 ちなみに、断片的に写真は残っているのですが、乗換駅の駅名表示をきちんと写真に残さなかったために自分がどういうルートで乗り込んだかいまいちはっきりしません。おそらく、ではありますが、スタンフォードブリッジ→Fulham Broadway駅→District Line→West Brompton乗換→Overground→Clapham Junction→Southern Railway→Tattenham Corner駅という流れではないかと思うのですが、どう検索した結果このルートが選ばれたのか、ちょっとはっきりしません。まあ、細かいことは気にしないことにします。

 大事なことは、メトロからLondon Overgroundに乗り換える際には、一度オイスターカードをピピッとしなければならない、というトラップがあることです。たまたま前をゆく人がピピッとしてくれていたので事なきを得ましたが、もしいきなりここに一人で降り立った場合、ちゃんと対応できたかは分かりません。なお、ちゃんと対応しなかった場合に何が起きたかは分かりません。

乗換時にはOyster Cardを改札しないといけないらしい West Brompton駅 多分これで
Clapham Junctionに
出たと思われます

 Clapham Junctionという駅は電車に乗ってふらふらしているとよく目にする駅です。当時はなにも興味が無かったのですが、今検索してみると日本語のWikipediaが用意されておりまして、過去にここで鉄道事故があったことなども説明されておりました。ただ、説明されている内容がなんかずれている感もあり、これはおそらく英語版を直訳したせいな気がします。日本にあれだけ鉄オタの皆様がおられるのだから、イギリス専門の鉄オタさんも相当数いるでしょうし、もうちょっとなんとかしていただけると一般庶民は喜びます。

おそらく、Clapham Junctionに到着しています
跨線橋からの眺め。この美しさは全世界共通です National Railのホーム 駅売店

 で、エプソム競馬場の最寄り駅のTattenham Cornerに向かいます。さっきまでサッカー場にいたので勘違いしそうになりますが、Tottenhamではなく、Tattenhamであります。先ほど見たClapham JunctionのWikipediaにおいて、“ham”は家(Home)を意味すると説明されていたので、Tattenさんの家かTottenさんの家か、という問題なのではないでしょうか。
 Tattenhamについては、英語版Wikipediaにて地域、両方が用意されておりました。駅の開設によると、1993年12月1日に電車がオーバーランする事故があったようです。電車も競馬を見たかったんでしょうね……というくだらない話をしている場合じゃないですね。
 ちなみに、National Railなので別途チケット買ったんですが、Oyster CardのZone6の表示があったので、Oyster Cardだけで突撃できたのだろうと思います。

車内でRacingPostを読む
おっさんがいました
到着! 終着駅っていいですよね 駅舎


 さて。いよいよです。ここからが本番。
 駅を出ると、競馬オヤジたちはみな競馬場を目指します。本来であれば彼らの番手を進むわけですが、寄り道します。
 駅を出て右に向かう親父たちを尻目に、左手の丘にのぼります。なお、おっさんたちを追いかけずになぜこっちに行こうと思ったのかは不明です。

 すると……眼下に広がるエプソム競馬場!!!
 今、自分の写真をみても涙が出そうになりました。夢にまで見た、あこがれのエプソム競馬場です。すごいすごいすごい。ここであのエプソムダービーがおこなわれるのです。やばいです。やばいっていう形容詞は好きじゃないのですが、使います。やばいです。
 そして、遠目に見ただけで分かるアップダウンが凄いですね。これぞイギリスの競馬場です

ここに入っていきます 競馬観戦用?のベンチが設置されており
皆様のんびりされておられます
目の前に広がるエプソム競馬場!!
コーナー奥のポケットが見えます 人が歩いております 手前には、運転手向けの馬に注意喚起標識 スタンド

 さて。これで満足していたらいけません。上から眺めに来たのではなく、競馬を見に来たのです。
 ここで、あらためて競馬場の形状を確認。

 実は分かりやすいサイトがあまりなく、JRA-VANnetkeiba。JRA-VANとエプソム競馬場のホームページ、At the Racesからも画像を拝借させていただきました。画像上、ヘリコプターが大量に止まっているのがイギリスらしくていいですな。


 そんなエプソム、馬蹄形のかたちをしていて、周回コースになっていません。日本の鹿追草競馬方式であります。このようなコース形状の場合、日本で言う「3コーナー」「4コーナー」という表現をしていいものか悩みどころですが、もしかしてなにか名前ついてるのかな。

 そんなわけで、競馬場に向けて歩いて行きます。

競馬場への道路標識には
馬の絵がかかれています
Home of Derbyという
表現がよいですね
徐々に馬場が近づいてきます 今日はシーズン最終日

 さて、馬場が近づいてくると右手に見えるのは5ハロン戦のスタートのためのポケットです。ここは道路を渡るんですね。
 つまり。この道路を歩くということは、エプソム競馬場の馬場を歩くことと同じなのであります。おお!自分は今エプソムの馬場を歩いている!
 (なお、後述しますが、普通に馬場も歩けます)
 これ、5ハロン戦が設定されている日だと、間近で馬が走って行くわけで、大変興味深いですね。馬場の設営なんかもどんな具合で、道路はどういうふうに封鎖するんだろうか。

5ハロン戦スタートのポケット エプソムの芝! 直線コースの
ゴール方向を見る
馬場脇の通路 奥には厩舎がありました ゴールに向かってまっすぐ

 さあ、コースが目の前にやってきて、というかもう既にコース上を事実上歩いていて、興奮が高まります。スタンドへは、コース脇を歩いて向かうことになります。

コース脇の通路に入ります 進みます そこからコース側を見ます ぐるっと見回す
残り4ハロン あらためてぐるっと見回す 最終コーナー回りの
アップダウンは凄いですね

 そうこうしているうちに、レースが始まりました。この日の第1レースです。2歳戦。

2:10pm /THE toteplacepot NURSERY HANDICAP STAKES (CLASS 4)
Prize Money:£10,000.00 Race Distance:7f Horse Age: 2YO
1st 3 Goodwood Zodiac (IRE) Frederik Tylicki William Knight Goodwood Racehorse Owners Group (22) Ltd 1m 26.49s 6/1
2nd 9 Hope Cove (GB) Cam Hardie Ed Walker Mr Ming Ho Lui 1 3/4 Length 1m 26.83s (+0.34s) 8/1
3rd 11 Arlecchino's Rock (GB) David Probert Mark Usher Mr K. Senior Head 1m 26.85s (+0.02s) 25/1
4th 5 Simple Attack (GB) James Doyle Saeed bin Suroor Godolphin 1/2 Length 1m 26.94s (+0.09s) 9/2
5th 1 Scarlet Dragon (GB) Tom Marquand Eve Johnson Houghton Mr W. H. Ponsonby 2 Lengths 1m 27.29s (+0.35s) 9/2
6th 8 Guanabara Bay (IRE) Fergus Sweeney Martyn Meade Mr J Anderson & Mr J Spence 2 3/4 Lengths 1m 27.8s (+0.51s) 17/2
7th 7 Clever Bob (IRE) John Egan Joseph Tuite Spear Family 1 Length 1m 27.98s (+0.18s) 12/1
7th 6 Just Emma (GB) Edward Greatrex Joseph Tuite Mr A. A. Byrne 1m 27.98s 20/1
9th 10 Blacklister (GB) Silvestre De Sousa Mick Channon Box 41 Racing 1 Length 1m 28.14s (+0.16s) 12/1
10th 2 Firedanser (GB) Tony Hamilton Richard Fahey Bearstone Stud Limited & Julian Ball 6 Lengths 1m 29.17s (+1.03s) 12/1
11th 4 Show Legend (GB) Jamie Spencer Michael Bell Three Desperate Housewives 40 Lengths 1m 36.38s (+7.21s) 6/1

 まだ競馬場(スタンド)に到達できていないので、無料ゾーンからの観戦となります。
 ここで見ると、コーナーに向かって入ってきてコーナーを駆け下りてくる馬の姿が見えるので、それはそれで非常に見応えがあります。

遠くから馬群がやってきます コーナーの坂をゆっくりと下ります コーナーへ コーナーを抜けていく
直線へ 直線に入って馬が遠ざかります こうやって見ると、各馬がインコースを取らないことがよく分かります
あと、アップダウンが激しいこともよく分かりますね・・・

 勝ったGoodwood Zodiacは鞍上にFrederik Tylickiを迎えて連勝となりました。なんと!ここでフレディがEpsomで勝っていたとは。まさかこれから数ヶ月後に彼とアイルランドで会うことになるとは、このとき思いも寄らなかったのでありますよ……。この馬は通算4勝して、のちにオーストラリアに渡って4戦して引退したようですね。
 今回は全頭のその後を追うことはしませんが、1番人気で5着に敗れたScarlet Dragonはこれを書いている2020年11月時点でもおそらく現役で(但し、2020年の平地シーズンが終わったのでどうなるかは不明)、直近では2020年9月18日のNewburyで走っています。2020年に入ってからも6月19日のAscotで勝っており、これはClass2のレースではありますが、開催はRoyalAscot開催で、Duke Of Edinburgh Stakesという由緒正しい名前のついたレースであります。
 また、6着のGuanabara Bayも現役バリバリで、こちらはオールウェザーも走るので冬もバリバリ元気いっぱいです。これを書いている2020年11月11日から遡ること2日、11月9日のDundalk戦を走っています。2年ほど勝ち星から遠ざかっているようですが、元気なことは素晴らしい。



 てなわけで、無料ゾーンからレースを見るという、遅刻しなければなし得ない体験をさせてもらいました。まあ、レースを見るだけならばここでも十分楽しめます。あとはイギリス版小島太がコーナーを回りきれずに外ラチに向かって突っ込んできてくれれば十分でありますな。小島太が引退してから何年経つか分からないけど、未だに外ラチ沿いにぶっ飛ばす騎手として小島太を挙げてしまうのもいかがなものかという気はする。後継者はだれなのだろうか。
 
 さて、馬場ではレース終了後に馬場整備中。
 あわせて、レースが終わったので内馬場への道が開きました。あれ、これってもしかして馬場に入れるんじゃない?
 というわけで、先ほども事実上馬場の上に立ちましたが、今回は正真正銘、エプソムのターフの上に立ちました!!自分は今、エプソムのターフに立っている!!見てくれ世界のホースマン、これが日本からふらふらとやってきた日本人だ。
 ちなみに。人が多く横断する場所は芝が剥げているので、上から芝が蒔かれています。基本的にはこの上を歩くんですが、まわりの人を見ても気にせず芝に入ってる人もおられたので、芝の上に立つために一瞬だけ脇に逸れさせていただきました。ありがたやありがたや。本当はこの上に寝転びたいところだけれど、日本を代表して(無権代理)ここにやってきている以上そんな恥ずかしいことはできません。

エプソムの芝 馬場に入っていきます 真ん中からゴール方向 真ん中からコーナー方向 芝の上に立っている!!

 さて、のんびりと感慨にふけりたいところですが、2レースが迫っているので先を急ぎます。

馬場整備の人
JRAはパンパンやりますが、
こっちはバイキングの
三叉みたいなのを使うようです
残り3ハロン 前のおっさん2人から
少し離れた番手を進みます
残り2ハロン このあたりは人がいません ここまでくると
駐車場と歩道が分かれます
馬場整備の人たちその2 このあたりからコース正面と後ろとを見る 無料ゾーンにも
スピーカーがあるので
実況は聞こえます
ピクニックしている人もいます 地下道を通って内馬場に出られるようです ここで行き止まりです
この先は有料ゾーン

 そんなわけで、無料ゾーンもそれなりに堪能しました。
 これだけ競馬場が開放的なのはイギリスらしくていいですね。日本と違って観客が多くないからこそできることなのかもしれませんが。

 そんなわけで、無料ゾーンに別れを告げ、なけなしのお金を使って中に入ることにします。


ロンドンの小横浜エプソム競馬場その2(場内探索〜4レース)エプソム競馬場5レース〜最終


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