シマノワイト

 友人に誘われて,海を渡ってワイト島へ。ワイト島のくせしてワイトアイランドと呼ばずにアイルオブワイトなどと格好つけた名前をつけてくれているワイト島であります。いかんせん英語の知識(歴史の知識?)がないのでアイランドとアイルの違いが分かりません。どうでもいいけど,ワイト島のWikipediaがなんとなく翻訳調なのは気のせいでしょうか。英語版を読む気力がないので大外れだったらどうしよう。
 まあそんなことはどうでもよく。とりあえず,土曜の早朝という絶望的な時間に待ち合わせをして,サウサンプトンから高速船に乗ってソレント海峡を渡り,ワイト島に乗り込みます。土曜の朝だけに,基本的に本土→ワイト島の船はすいていて,逆のワイト島→本土の船は混雑しておりました。みんな本土で楽しい週末を過ごすのだろうと思われます。
 高速船なので,特に外に出られるでもなく,またうろうろするなとのアナウンスもあったのでうろうろすることもなく,でもまあ窓からいろいろな船が見えるのはなかなかに興味深いものでもあり,まあ,結論から言うと,船が非日常な自分にとってはやはりそれなりに楽しめました。これが日常になるとなんとも思わなくなるんだろうけど。
 日本の瀬戸内海の高速船なんかだと安全のアナウンスがかかった記憶がないんですが,ここではきちんと映像が流れて非常用設備の案内がありました。やってくれた方がなんとなく安心感はあります。救命胴衣は椅子の下に設置されている飛行機タイプでありました。

乗り込む 船内の様子 この緑は,逃げるときの
最寄りの非常出口を示しています
世界の船窓から

 内海を船で移動するのはもちろん瀬戸内海で慣れてはいるんだけれど,瀬戸内海と違ってぽこぽこと島があるわけでないのがなんとも。というか,瀬戸内海が異常なんだよな。あれに慣れちゃってる自分の感受性の低下が哀しい。
 他方で,ヨットが多数浮かんでいるのがいかにもヨーロッパ的であります。瀬戸内海ではまず見かけない気がする。東京湾で昼に船に乗るといるのかもしれんけど。大型のカーゴシップ(船の種類なんて分からんぞなもし)がたくさん浮かんでいるのはいかにもソレント海峡といったところでしょうか。なにがどういかにもなのかよく分かってないけど。

 そんなこんなで,船は無事WestCowesに到着。
 とりあえず,ぷらぷらします。日本人的発想だと「まずバスの時間を見てそれから!」となるのでしょうが,そうはならないんだな。
 このワイト島,道幅が狭い。なんとも日本的。なのですが,当然走ってるバスは2階建てのでっかいやつだったりするわけで,対面通行も容易ではありません。そのため,渋滞が起きたりしてどうにも車の移動速度が遅いのでありますな。
 まあ,歩いている分には支障はありません。なんというか,変に近代化しておらず,「これぞ(若干近代化した)イギリス」という雰囲気の町並みでした。
 このワイト島は大きなヨットレースが開催されることで知られているようでして(当然おいらは知らない),それ関係の解説があります。また,マリーナには大量のヨットが停泊していて,同行のドイツ人が興奮しておりました(彼の親もヨットを持ってるらしい)。
 この,「ヨットに乗って海外へ向かう」という文化が皆無な日本人としては,ドイツ人がヨットに乗って海外旅行したりしているのがなんとも不思議であります。日本だったら完全に万景峰号とか脱北者とか,そんなイメージだもんな(自分の認識を勝手に日本に一般化している天はご容赦)。ヨーロッパだったらそりゃ港から港にうつれば国境をまたぐのは当然。もう感性が違いすぎる。この感性の違いを認識できたのが今回の旅行の最大の収穫。もしかしたら,加山雄三とかもこういう世界で生きてるのだろうか。いずれにしても,ほんと自分の知らない世界がすぐそこにありました。
 陸の旅行者が普段陸でしているような,世界(共用シャワーがあって持ち出し可能な本が並んでて)が,海の世界(もちろんマリーナがあるのは陸だけど)にもあるんだなあ。いや〜ほんと,いい勉強になった。そして,こういう世界に憧れる人が出るのは本当に理解できる。海には国境はないのだ。

Welcome to West Cowes 町並み 脇道を抜けると
ヨットクラブ
桟橋からの風景
よっとがぷかぷかしております
カウズの解説 王室の名前が出てきます ルイビトンがアメリカズカップの際に
寄贈した,という理解でいいのだろうか
大砲が並びます スタートの号砲は
この大砲らしいです
おそらくこのへんは
高級別荘地
ソレントについて
遠近補正かけたら真ん中部分が読めなくなったけど
どうせ読まないから気にしないことにする
RedFunnelのフェリーがヨットの脇を進む
(帰りはこれに乗った)
坂の上から海を見る
奥に豪華な旅客船が見えますな
どこからどこに向かうのだろうか

 さらに,逆方向に向かって別のヨットクラブをうろつきます。そもそも,こういう場所って勝手に入っていいもんなんですな。ドイツ人はここに1日いてもやっていけるらしい。ふうむ。そこまでとは。


 で,セインズベリー(という表記であってるのだろうか)で昼食にパンを買っていざバスに乗って出陣であります。出陣といっても,とりあえずこの島の中心にあるニューポートを目指すだけです。ニューポートってことは,おそらくここは新しい港町なんでしょうけれど,古い港町ってのはどこになるんでしょうかね?カウズが旧ってことなんでしょうか。
 さて。ワイト島も例に漏れず交通費が馬鹿高く,いい加減社会人気分も抜けて学割を使うわけだけれどそれでも高い。
 てことで,今更ながら1日券を購入。最初から買っておけばよかったと後悔しても仕方がない。

 そして,ニューポートから一行は西を目指します。最終目的地はニードルズヘッド。途中,ヤーマスで下車。自分だったら直行してただろうから,こういうことは他人と行かないとダメですな。
 ヤーマスは本土に向けてフェリーが出ている港町であり,また,古くはここにお城があったようです。一応城に接近してみましたが,値段が高いので即撤退。まあ,同行者たちも城に興味なさそうだし,時間もないのでこれは正しい判断ですな。興味があったら自分で再訪すればよい。それにしても,さくっと4〜5ポンド持って行こうとするんだよなあ。日本で入場料1000円の城っていったらかなり限られるだろうに。今みたら大阪城で600円,姫路が1000円,名古屋が500円。大阪と姫路の中間値ってことか。ううむ。この田舎町でそれはきつい。

1日券 ヤーマスの地図 町並み ヤーマス城の入口と簡単な解説 ヤーマスピア
桟橋には会員だか
寄付者だかの名前が
本土に向かう船 ヤーマス城 船と城 桟橋

 一行は再度バスに乗車して,ニードルズヘッドに到着。途中,車窓からは牛やら馬やら羊やらが見えました。この島でこれだけの多数の動物がいるんだな。
 んで。ニードルズヘッドは,上は遊園地のようになっていて,子供たちが楽しめる設備がたくさんありましあt。尤も,稼働率はそんなに高くない。パターゴルフができる場所もあり,ここは賑わっておりました。



車窓から。これは牛ですね 通信施設の記念碑 メリーゴーランド 車に乗って動くやつ
(名前を知らない)
先端の景色
空模様がイマイチなのが残念だな

 さて。続いて,リフトで下まで降ります。このリフト,直前にパパパッと検索した限りでは,なかなかの直滑降をするようで期待してたんですが,事前に期待を高めすぎてしまったためにちょっとイマイチでした。イマイチってのは,期待したほど怖くなかった,っていう意味です。高尾山のケーブルカーの方が怖かった。

 まあ怖さ自慢はさておくとしまして,無事下に到達であります。このリフトの到着場所の直前の土地が思いっきり,なんか引責でも激突したんじゃないかっていう感じにえぐれているんだけれど,これはリフトのために人為的にやったんでしょうか,それとも,本当に自然の力でえぐれたんでしょうか。自然の力だとしたら恐ろしいな。

 さてさて,海岸沿いをピークに向かって歩きます。このあたり,下は丸い石ころです。とりあえず自分がいままで歩いた海岸線は岩場か砂場でありまして,こういうコロコロした小石の上をひたすら歩く,ってのはちょっと記憶にありません。いやはや,自然って面白いですね。
 そして,色が次々と変わる断層面なんですが,とりあえず近づける範囲で近づいてみたところ,基本的には粘土質。それにしても,こんなに色が七変化するもんなんですね。いやはや,自然って面白いし,興味深い。できれば日本語でこのあたりの仕組みを解説してくれる人がいたりすると助かるわけだけれども,まあとりあえずこういう場所を見られただけで来た甲斐があった。うん,素晴らしい。
 遠目につやつやして色が面白い場所っていうと,自分の遠い記憶で吹割の滝周辺をちょっと思い出したんですが,土の質は全く異なるわけでして,本当にいろいろな意味で自然って凄いし面白い。

 関係ないですが,この旅行でマレーシア人がGoProというカメラを使っておりました。自分のカメラの使い方的になかなか縁はなさそうではあるんだけれど,こんなのあるんだな。知らなかった。

帰りの切符はなくさないように リフトからの景色 自撮りする青年 下っていきます
リフトからの景色その2
このえぐれ方は人為的なのか自然の作用なのか……
下っていく 降車地点から上を見る
ピークを見る
若干もやがかかってて
イマイチですね
先へ進む 下はコロコロした小石です ちょっと歩きづらい ここでUターン
地学の授業で来ていろいろ説明を聞きたい
本当に面白い場所だ
割れ目の上を見る ボートもあります リフトで戻る
リフトからの眺めその3 ここも牛ですね

 さて。そんなわけで,ニードルズヘッドの素晴らしい景色を堪能した一行は,残された時間をカリスブルック城に使うことにしました。正直,急造城マニア(にわか)としては,歴史的背景が分からないと城の楽しみが結構な割合で減少するわけでして,この城がいつ誰によってどういう目的でつくられ,どういう戦いを経てきたのかさっぱりわからんのでちょっと自分でも困惑してしまいます。
 とりあえず,城壁の下に石垣,さらにはお堀がありまして,その周りを歩いていくと城門が登場します。これぞ西洋!という感じの,丸みを帯びた城門であります。なお,これを書いている今,中世ヨーロッパの城塞という本を一部だけ(法の許す範囲で)コピってきたことを思い出しましたが,結局1ページも読んでおりません。なにやってんだか。
 それにしても,木と漆喰でできあがった日本の城が劣化して崩壊するのは分かるんですが,この石で築かれたこの手の城が破却されるとどうなるのか,裏返すと,今こういう状態になっている城がかつてどうなっていたのか,全くイメージがわいてきません。壁は壁として理解できるんだけど。
 いやですね,たとえば壁に穴が空いています。今の時代だったら「ああ,窓だな」で済むわけですが,日本の城壁であればおそらくは狭間なわけでして,果たして往時のヨーロッパではどうだったのか。この基本的なところからして知識がなさ過ぎてイメージがわいてきません。どうすればいいか,というと,たぶんきちんと時代考証された映画とかテレビとかをみると一発でイメージがわくんだろうと思います。ここにきて映画を見ない自分の過去を悔やむことになるとは……。

残った城壁を見上げる 町を見下ろす ちょっときれいに整備されすぎてるけれど城壁の下は堀
奥に石橋が架かっているので,昔から掘られていたのは
たぶん間違いなかろう
こんな丸腰の場所に
放題があったのだろうか
城門を見上げる 城門

 ここは入場料8.3ポンド。1500円オーバーであります。この奥地にしてこの値段。というわけで,やはりここも撤退。まあ施設の保存にお金がかかるのは仕方ないとして,日本の木と紙の建物より保存にかかる費用は安いだろうに,なんでここまで高いのか……。つまるところ,自治体から保全費用が出てないのではなかろうか。まあ,いずれにしても,個別に入場料を払ってると破綻するのは明らかなので,ナショナルヘリテージの会員になって一気にこの手のものを回るのがいいと判断。いつどのタイミングで払ってどう回るかはこれから考えることにします。

 帰りがけに,教会に立寄ります。外観を眺めるだけ。


 で,帰りはイーストカウズからフェリーに乗って帰ることにします。運航会社が同じなので往復券でどっちに乗ってもいいとのことでした。
 乗船前にイーストカウズで夕食食べようと思って町をうろついたのですが,ここイーストカウズはウエストカウズに比べて店が少ない。少ない,というかほぼゼロ。というわけで,食べられる店が見つからず,船で戻ってサウサンプトンで食べることに。



 そんなわけでして,帰りはフェリーに乗り込みます。
 このフェリー,舐めてました。どうせボロい船だろと思ってたら,想像以上にきれいでした。びっくり。いやはや。
 これだけの船なのに大浴場がないのが日本との違いといえば違いでしょうが,まあそれくらいのもんでして,ちゃんと食事も出ますし(但し,出航後早めの時間に閉店する),上位階にはペットを連れ込める部屋も設けられておりました。いや〜,ほんと石崎汽船の広島松山便的な船を想定してたので(石崎汽船には思い入れこそあれど恨みはない),ほんとにびっくりしました。
 これに乗れたのもいい経験。今度行くときも行きは高速船,帰りは鈍行にしよう。

フェリー乗り場へ 乗り込む Red Funnel ボート工場なのかな?
車が大量に乗ってきます イーストカウズの船たち おのぼりさん的にそとに出てる人は非常に少ない
せっかくいい風を浴びられるのに…
先頭部
先頭の風景 速そうなのがやってきた 豪華なのが見える 最上部のSunDeckはDeckAAという名前でした
誰もいない…
こういう旗って
破れててもいいんでしょうか
艦橋,とはいわないのか
船舶用語が分からない
浮き輪 船は進む 三井のコンテナ船 航行中は車両甲板に
おりられないのは
ここも同じですね
内部案内
下がAで上がB。なのにサンデッキはCでなくAAなのか。
Bデッキサウス Bデッキノース
ペットOKであります
Aデッキ 食事コーナー 男子トイレ 物販
すっかり外も暗くなりました 湾の奥に入ってきた
もうすぐ到着
到着

 そんなわけで,とりあえずぐるっとワイト島を見て回れたし,なにより自分一人じゃ絶対に行かない・見ない・感じられないことをいろいろ経験できたのは大きな収穫でした。
 次は恐竜がらみのものを見つつ,城を攻略したいところだな。



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