馬を追って鹿(鹿追草ばん馬その1)

 旅行2日目。いよいよメインイベント,鹿追の草輓馬へ向かいます。
 競技開始が9時のところ,起きたらすでに9時15分だったのはご愛敬。車を借りてレッツゴー。それにしても,北海道は気付いたら街中でもびっくりするくらいのスピードが出てるからおそろしい。
 およそ1時間程度かかり,10時30分頃目的地の道の駅うりまくに到着。道の駅だから駐車場がありあまるほどあるんだろうと舐めてかかっていたところ,満杯でした。そりゃそうだよな……こんな1年に一度のイベントに耐えきれるほどの駐車場を用意しているはずがない。てことで,ぐるっと回ってみたところ,いい感じの場所に駐車できました。よかったよかった。

 てことで,会場入りです。すでに大勢の観客が観戦しております。
 とりあえず観客の皆さんを見ると,プログラムっぽいものを持っておられるので本部席を探してプログラムをゲットします。



コースへ向かう コース 観客も大勢 本部席まわり プログラム


 さて。基本的に旅行記なので時系列に書きたいのですが,あまり時系列的なことを記憶(記録)してないので,最初にまとめ的に書きます。
 今までばんえいは岩見沢と帯広,草輓馬は涌谷と七戸とみてきました。平地開催時だった旭川も見たし,テレビ画面越しであれば多分北見も見たことがある。それらに共通していたこと。ダート・障害は2つ・2つめが大きい。これらはここも同じです。しかし。大きな違いがあります。それはばんえいコースがU字型!!だということです。まさか,こんなコースがあるとは思わなかった。衝撃です。なんせ,あの思いそりを引いて180度方向転換するんだからなかなかに脚に負担がかかりそうだし,なにより内が有利すぎるし,また,コーナーで抜くのも大変そうです。そして,内が有利すぎることからも明らかなとおり,コースはセパレートコースでなくオープンコースです。
 いや〜,ばんえい競馬も奥が深い。来てよかった。まさかこんな面白いコースに出会えるとは。こんな興味深いレースコースが眠っているとは……やはり北海道は広い。
 そういえば,ここは馬場が(パーク)ゴルフ場と一体化してます。海外にはゴルフ場併設の競馬場って多数ありますが,日本だと珍しいですよね。これも北海道ならではといえるかもしれません。いや,海外の競馬場は普通のゴルフ場とセットになっているのに対し,ここはパークゴルフ場とセットになっているわけでして,世界でもなかなか例を見ない競馬場である,ということができるかもしれません。

鹿追町ライディングパーク
道の駅うりまくの案内図
見ての通り,ばん馬コースはU字型です

 いやあ,もうこれは輓馬の戦いが楽しみですね。
 なお,プログラムを見てびっくりしたこと。それは,最終レースです。まさかの農林水産大臣賞典!!びっくりです。まさかどこぞの同人誌の別冊競馬○知○anfareみたいに勝手に自称できるようなものではないでしょう。どうしてこんなところに農水大臣が登場できるのか(なお,あとで若干の謎解きが)。また,プログラムを見て,このレースの正式名称が鹿追町競ばんば競技大会であることを知りました。まあこれはどうでもいいっちゃあどうでもいい。
 それにしても,ここはレースが多数おこなわれるので,はるばるやってきた甲斐があるというものです。すばらしい。
 というわけで,これ以降は例によって観戦→探索&つまみ食い→観戦→探索&つまみ食い→観戦……という流れを繰り返すことになります。

 さて,最初の難題は,「どこで見るか」ということでありまして,幸いこちとら独り身でピクニック的な道具はないので自由に動き回れます。てことで,最初はスタート地点に向かいました。平地競馬のスタート地点は,輓馬のゴールの脇になります。
 と言うことで,この日の最初の観戦レースは8レース。トロッターです。

観戦席から見るばん馬コース ゴール先からばん馬コースを見る 競馬の周回コース
奥に見える数字は
ばん馬のスタート
検量場
おそらく輓馬用
スタート地点に馬がやってくる たすきを渡します スタート準備 スターター


スタート地点

 というわけで,草競馬にでも行かないとなかなか見られないトロッターのレースを久々に見ることができました。(繋駕競走でない)平地レースに関しては,個人的にはやはりギャロップのレースの方が好きだけれど。

 そんなこんなをしていたところ,第13レース,ばん馬A級決勝の予想投票が始まりました。というわけで,せっかくなので投票用紙をいただいて予想投票します。

投票用紙
極めてシンプルです

 9レースはばん馬戦。初めて見るU字型コースでのばん馬競走です。なお,ここの第2障害は見たところそこまで高くない気がします。多分1メートル程度。このレースは負担重量が450キロでそこまで重くないこともあり,障害で大きく詰まることもなく各馬ゴールしていきました。
 U字型なので,スタートが遠く,コーナーを回ってからしか間近でレースを見られないのが欠点と言えば欠点かな?あと,見ての通りここは基本的に騎手1人がそりに乗るのばんえい競馬方式。鞭は使わずに余った手綱で馬に気合いを入れます。あと,見ての通り子供が騎手をやっておりました。これまでの涌谷と七戸をしっかり覚えているわけではないのですが,子供が騎手をやってたのはちょっと記憶にない。北海道だけあって,それだけ馬とばん馬とレースが身近なのかもしれないし,もしかしたら将来ばんえい競馬の騎手になるのかもしれません。


 10レースは,「和種馬速歩決勝」という,聞き慣れないレース。
 「和種馬」というのは,日本在来8種の1つで,いわゆる道産子のことのようです。言うまでもなく,例によってWikipedia師匠の受け売りです。北海道には「北海道和種馬保存協会」というのがあるようなんですが,ホームページがFC2で更新されてなくて見づらい(2016年3月末日現在)のが若干困ります。最近はFacebookでの情報発信に力を入れているようですね。ぱっと見,サラブレッドよりも足が短く,ややがっちりしてるように見えます。


 11レースはばん馬B級決勝。スタートがどうなってるのか気になる時間帯(レース全体は慣れてきた)で,頑張ってカメラのズームで理解しようとしてみましたが,無理でした。
 あと,ばん馬って,重いそりを曳いてるわけで,それでコーナー曲がったらバランス的に片方の脚への負担が大きそうな気がしますが,どうなんでしょうかね?

発走準備
手前のボードには
結果か何かが書かれてるのでしょう
スタートしました 第1障害 カーブしていく 第2障害へ
第2障害で逆転 そのままゴール

 そんなこんなで第13レース。ばん馬A級決勝(写真なし)。・・・・・まさかの単勝的中です。予想が当たってしまいました。番号でしか予想してないので,馬の名前すら分かっちゃいない。こんなんで当たっちゃっていいんでしょうか。てことで,貧乏人根性を発揮して商品を受け取りに行きました。商品は,キッチンペーパー。どこかの地元の会社がスポンサーになっているのか,それとも単にどこからか安く仕入れたのかは分かりませんが,地域のお祭りで家庭に役立つ商品を出すという流れは至極全う。商品からしても,観光客相手の大会ではなく,地元のお祭りであることがよく分かりますね。地元の特産品を賞品にしていた串木野綾競馬と比べると明らかです。
 ただ……観光客からすると,こんなでかいキッチンペーパーどないせいっちゅうねん,と言う話でして,とりあえず今日のところは車に置いておけばいいのでまあいいとして,翌日はこんなの持って釧路の町をうろつくのか……。いやまあ,普通にコインロッカーに全部放り投げればいいだけの話なのですが。当たったのはよかったけれど,ちょっと予定外でした。

賞品受け渡し
なお,名前を呼んで渡す形なので
投票用紙に変な名前を書くと
大恥をかくことになります
白馬様でなく本名書いてよかった
賞品

 14レースはポニー1歳決勝。頭数が多いので分割されてました。懐かしいですね,分割競走。分割A・分割Bとか,いったいいつまであったんでしたっけ。いや今もルール上はあり得るんだろうけど。日常的に発生してたのはいつまでだったんだろうか……。
 分割の最初のレースは平地競馬のスタート付近,つまりばん馬のゴールの先から観戦。この角度でばん馬競走を見られるのはなかなかに貴重であります。

分割Aスタート 第2障害を越えてくる
分割Bスタート ばん馬がコーナーを回ってくる絵はなかなか見られません

 さて,ここで大事なお知らせが。本来は午後16レースに予定されていたトロッターの繋駕レースが午前の最終レースに前倒しされることになりました。理由は不明ですが,午後のレース進行を見て馬の疲労を考えたのかもしれません(なんせ,3頭しかいないから3頭がフルに走り続ける)。
 というわけで,ここに来た最大の目的,繋駕レースを見ることになります。
 ぶっちゃけますと,これまでに繋駕レースを生で見たのはオーストラリアだけでして(注:後日,ブラチスラバモスクワで見ていたことを思い出しました。海外まで出向いたくせに忘れるとか,一体何やってんだろうか俺は),オーストラリアは旅行記作ってないから完全に記憶からぶっ飛んでおります。というわけで,嬉しそうに「これが目的」とか言ってるくせに,肝心要の目的のものについて知識が吹っ飛んでいたのであります。いやほんと,せめてYoutubeかなにかでレースの1つでも見てから行けってもんですわ。ムーニーバレーの写真とかどうしたもんだか。正確には,写真はあるんだけれど,旅行記メモが消えたんだよな……捨ててないはずなのだが,引越しの際に出てこなかった。どうしたものやら……。

 とまあ自分の過去を振り返っても仕方がない。日本でおこなわれる,数少ない繋駕競走をこうして生で見られるのだからそれに集中します。集中といいつつカメラ構えてるんだから全くもって集中しきれてないのだが。
 で,感覚として,繋駕車の形がオーストラリアと違うんじゃないか,という気がしております。少なくとも,車輪が小さいのは間違いないと思う。この繋駕車,これだけ競技人口が少ないんだからこれだけを作っても商売にならないだろうし,誰が作ってるのだろうか。もしかしてオーナーさんが自作してたりするのだろうか。あるいはオーストラリアなりヨーロッパなりから輸入してたりするのだろうか。
 で,実はこれを書いている時点では,フランスヴァンセンヌで繋駕速歩競走を見たあとでして,そのときとの比較とすると,基本的には大きな違いはないように思うんだけれど,なんかどことなくあっちの方が繋駕車に安定感というか安心感があったように思うんだよなあ。具体的になにが違うのかはよく分からんのですが。
 なお,正式な競馬だとトロットにならなかったら失格になりますが,もちろんここではそんなつまらないルールはありません。

 この日繋駕速歩競走を走った馬は3頭。サイレンスサンデー,ダイセンプー,北海丸(アイウエオ順)(なお,おそらくダイセンプーというと京王杯SHを勝った馬を思い浮かべるんではないかと思われますが,当然別の馬です)。騎手も同じです。まさに,「日本一競技人口の少ないスポーツ」の面目躍如といった感があります。
 ただですね,自分の数少ない経験からいうと,確かに出走頭数は少ない。でも,ここまで間近に繋駕速歩を見られる場所というのはないと思う次第でして(繋駕速歩に限った話ではない気もしますが),これは本当に素晴らしい大会だと思うのであります。


 とまあ,こんな具合に午前の部終了です。
 てことで,お昼。楽しいお昼ご飯の時間です……といいたいところですが,当然これまでのレースの合間合間に買い食いを連発しておりまして,特にお昼だからといってなにかを食べるような気分ではありません。
 上に書いたとおり,基本的には地元向けのお祭りなんですが,だからといって東京の小さな神社のお祭りみたいに焼きそばとかのテキ屋が並んでいるわけではなく,地元商店街かなにかの店がテントを出して地元っぽいものを売っておりました。つまり,これらの品々は作られた地元特産品ではなく,モノホンの地元特産品なのではなかろうかと。多分外に売りに出せないB級品とかを使ってるんだろうし。
 あと,草競馬においてきちんとゴミ箱が設置されているのは地味にありがたい。まあ,放っておくと道の駅のゴミ箱が満杯になって色々問題になるってのもありそうだけど。

お店
テントは平成25年の宝くじ助成金で買ったようです
なんでこんなことに助成金が使われてるのだろうか
豚串 ツブ貝 2日連続の豚丼 ゴミはここへ
昔なつかしいなきび大福
検索すると旭川名物が出てきますが
北海道全体に広まっているお菓子なのではないかと
かき氷
こういう場所でないと食べない
サーチィワンアイスも
気になったんですが…
馬具屋も出てます

 せっかくなので,道の駅にも行ってみました。ここは基本的に道の駅うりまくに鹿追ライディングファームが併設されていて,ドライブの休憩がてら馬に乗ったりパークゴルフしたりすることができるという場所のようです。道の駅にも売店があり,ここでも食べ物が売られております。まあ普段はここでしか食事を買えないんだから当然。
 鹿追町には検索したところ公認ゆるキャラのくてくぅと,非公認のぐらんでぃがおります。くてくぅは生意気にもFacebookなんか持っております。で,ゆるキャラのくせになんでこんなに発音しづらく,PCでローマ字打ちも面倒な名前になっているのかというと,鹿追の名前の由来となったアイヌ語の「クテクウシ」からきた名前のようです。教育的な名前ですね。なお,素人にはなぜクテクウシが鹿追になるのかさっぱり分からなかったことも付言しておきます。これだから東京もんは困る。ぐらんでぃは,2016年4月現在で8ヶ月間Twitterの更新を止めてるので,もしかしたら中の人にアクシデントがあったのかもしれません。負けるなぐらんでぃあ。

道の駅うりまく 満車 鳥瞰図
田んぼが広がっているのが
東京ものからすると圧巻です
道の駅の中にも馬
乗って記念撮影
可能です
本大会のポスター
鹿追ライディングファーム。体験乗馬が可能となっております ゆるキャラの
くてくぅ
ほかにも建物
トイレがあったり
会議室があったり

 ちなみに,ここの馬場散水車には「鹿追町」の文字が入っていたので,民間企業のボランティアではなく町がやってるようです。他方,馬場整備は特に会社名が入っておらず,宣伝アナウンスもありませんでした。

 
第2障害をアップで

 この日の午前の部の時点での成績表など。明らかに写真の撮り方を失敗して見づらくなってるけど気にしない。右側の方が番号が若いです。


 というわけで,お昼のイベントへと続く。

帯広競馬その3鹿追草ばん馬その2


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