こけしくろいし

 まだちょっと時間があったので,黒石の津軽こけし館に行ってみることにしました。こういうときに車でいると自由に行動できるから楽です。

 別にこけしに思い入れがあるわけではないんですが(そりゃそうか),黒石の温泉に入るついでに,近場で,かつ,ここにいなきゃ行けない場所っていうとこれかな,と。

 んで。ここもほとんどお客さんがおりませんでした。まあ,そりゃみんなこけしにそんなに思い入れないよねえ。


 さて,まあそんな感じで特に深い考えもなく寄ってみた訳ですが,思いの外よかったです。
 そもそも,こけしっていうと山形まわりのイメージで,津軽のイメージがなかった。まあ,そこまで山形イメージが強いかというと,実は深く考えたことがなかった,というのが正直なところだけれど。鳴子のこけしって有名だし。
 これが奥が深い。現在は11系統に体系化されているようで,津軽の特徴は頭はおかっぱ頭が多く,胴は津軽藩の家紋のボタンなどが多いとか。地域によって髪型に差があるんですな。
 そして,思いの外職人さんが少ない。まあ,今となっては機械で安く作れてしまうので致し方ないところもあるだろうし,そもそも需要もそんなにないのだろうけれど。ただ,職人さん個人が今も大事にされているのは印象的でした。

職人さんの実演 各地のこけし 暗かったこともあって写真のピントはずれたけれど
とりあえず「子消し」はガセらしいです
系図

下で実演されていた
職人さんの作品
 
昭和天皇お買い上げ!!
しかも陛下ご自身で選ばれたみたいです

 そして,興味深いのが純金こけしをめぐるすったもんだ。
 ふるさと創生の1億円で作った純金こけしを売却するにあたり,なんとか阻止すべく動いた皆様とそのために用いられたオーナー募集活動のための人形。
 今となっては半分ネタみたいなかたちで展示しておりますが,額が額なだけに当時はみなさん必死だったでしょうね…。
 合わせて,きんさんぎんさんのお写真をかなり久しぶりに見ました。それにしても,「老後の蓄えにします」っていう回答が秀逸すぎてたまらん。凄い姉妹ですわ……。
 まあ,ふるさと創生事業の失敗について,今馬鹿にするのは簡単なのだけれど,当時の皆さんは必死に色々考えたんだろうし,それをこうして今笑い飛ばせるのも世の中が平和なおかげなわけでありまして,とにもかくにも,このこけし館が潰れないことを祈るばかりです。


累積赤字10億円!

使用量として年間2%
200万は高いな…

純金こけしの詩

強奪計画が発見された
ってのは凄い話だ

落札額は2億程度とのこと

さよなら展示には
県内外から1000人程度が
訪れたとのこと
……決して多いとはいえないな
黒石の辛さがよく分かる
    

 そして,有名人のこけしアートコレクション。1億円のこけしがなくなったことを契機に,様々な有名人に絵付けをお願いしたようです。さくらももこさんに目をつけたのは賢い。
 それにしても,麻生安倍コンビの筆遣いのうまさはさすがですな。なんつーか,育ちのいい人の格の違いを感じます(ネットでよくこのあたりの方々と福島瑞穂さんや菅直人さんとの違いが出ますが,自分の筆なんて当然小市民の後者寄りなわけでして,こっちに親近感わくわけです)。小池さんのクレオパトラ的こけしもいいですね。このデザインで描くことはご自身の御発案なのでしょうか。そして,驚くのは小池さんが「衆議院議員時代」と書かれていること。この手の展示って展示替えとかがおざなりになっていることが多いですが,小池さんの都知事就任後にきちんと説明を更新しています。素晴らしい。


奥山佳恵さんが目立つ

そして,こどもたち

 その先は,巨大こけしや作業場の展示など。


 そして,コケーシカプロジェクト。マトリョーシカとこけしの関係には諸説あるようですが,ここはやはり夢を追ってこけしがマトリョーシカになった説を採用したいところであります。
 そして,「セルギエフポサード」という文字列をみるにつけ,ロシア旅行記が完全に放置されていることを思い出すのでありました。


 そんなわけでして,こけしの奥深さを学べたので大満足です。こういうのを楽しめるようになったのはじぶんがおっさんになったからなのかもしれんけど。
 長くなるので続きます。黒石で2ページになるとは,行く前に誰が予想しただろうか。


浪岡城黒石その2


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