プロゴルファー猿と再会した2021年


Amazon Primeでアニメ版プロゴルファー猿を無料で(正確にはPrimeの月会費で)見ることができたので、思わずダラダラと見てしまいました。1回15分設定ですが、全部で150話以上あり(厳密には143+10なことは後で知った)、かけ算すると40時間弱。この時間を有効活用できていたらどんなによかったか。
終わったことは仕方がないのですが、この文章を書こうと思った理由が2つ。1つが、やはりこのアニメにはちょっとだけ思い入れがあること。もう1つは、2021年5月30日に小林亜星さんが亡くなった、というニュースが、同年の6月14日〜15日にかけて流れたこと(これを書いているのは6月15日)です。

もともと、プロゴルファー猿については、なぜか家に1冊だけ漫画本があり、それを繰り返し読んでいたのでした。巻としては、アマチュア選手権の決着がつく号で、既に日影さんはリタイアしていました。なので、僕の中で日影さんはふらふらになっているコマと、リタイア直前まで猿と並んでいたという情報だけのある人です。そして、よくよく思い返すとレフティーという猿とのコメディタッチな話も収録されていたという記憶です。これはアニメ版には出てこなかったんではなかろうか。
あと、巻末に1話だけ別のマンガが載っておりまして、今検索して調べると、おそらくはウルトラBというマンガだと思われます。お父さんがゴルフ大会のブービー賞の商品でミニバイク?かなにかをゲットして、男の子がそれに家の庭で乗ったところ芝に跡がついてお母さんが怒った、ところまでは記憶としてあります。オチはどうだったか記憶してませんが、あの手の話にありがちに空を飛んだんではなかろうか。いずれにしても、この作品において重要なのは、僕が初めて「ブービー賞」というものを認知したのが、この作品だと言うことであります。人間、こうして語彙を増やしていくのであります。

自宅にある漫画本の冊数が少なかったこともあり、何度も読んだ本ではありました。他方で大人になったからといって大人買いするほどのやる気も思い入れもなく、これまで30年ほど放置モードでありました。
そして、アマプラで久々に見たのでちょっと感慨深いものがありました。
なお、主題歌が小林亜星さん作曲であることは知らなかった(よく見てればクレジットされてるんだろうけど、自宅でのんびり見てるのでクレジットまで頭が及んでない)んですが、このたび「プロゴルファー猿」で検索したところ、小林亜星さんのニュースがヒットして、主題歌が小林さん作曲であることを知ったのでした。
あまり根を詰めずにダラダラ見ていたこともあり、プロテスト合格後の10話が「新プロゴルファー猿」という別のアニメだということにも気付きませんでした(題名のときのバックが違うので、終わりが近いんだろうな、という程度の認識はあった)。

その程度の知識と記憶とやる気で見ていたんですが、色々と発見がありました。
まず、アニメにはいくつかの流れがあって(最後の10回のことはもちろん)、ゴルフルールを解説することを主眼にしていたり、過去のゴルファーの名言を中丸を通じて積極的に出してることがあったり、このあたりは長く続くアニメらしいところです。
あと、大丸中丸小丸については、小丸の一升瓶の中身が酒ではないこと(Wikipediaを見ると、マンガ版では酒だったようなので記憶違いではないのかも)、次男が中丸で大丸が三男であることが発見。さらに、お姉さんが存在することも驚きでした。
自分の中でなぜか名前を知っていた「紅蜂さん」について(多分オバQやパーマンとセットでやってたアニメで見てたんだと思う)について、色々とストーリーに絡んでるのが分かったのもよかったです(大人として見ると、ミスターXとの色々な関係があったのではないかと思うところですが)。終盤、紅蜂さんが中東に行くことが今生の別れ的な扱いをされていたのも、おそらくは時代なんだろうなあ。
ミスターXがらみで言うと、結局何者なのかが明らかにならなかったのは仕方が無いとして(夏場でもあの格好をしていたところをみると、病気でプロを断念した金持ち、というところか)、日本人と思われる彼が世界の影プロを操るに至った流れは気になる。影プロ事業がお金になるとは考えがたいのだけれど、どこでどうやってお金にしてるのだろうか。シャドウマスターズもそんなに儲かるようには思えないですし。
最後に出てきた流喬四郎は、持病があるのはいいのだけれど、プロテスト受ける位なんだから影プロやる必要もなさそうで、猿のプロテスト合格を阻まねばならない積極的な理由が見いだせません。
影プロ軍団は基本的に一芸に秀でた曲芸特化型タイプが多いので1対1のサドンデスで勝負を挑むのは分かるんですが、日影さんや紅蜂さんあたりは普通に正面から戦った方がよっぽどか良い結果になったんでは。てか、プロテストにもっと多くの影プロを送り込めてたら勝率上がっただろ、とかまあ色々と思うところはあります。悪役の攻め方の拙さ故正義側が勝つことが多いのはこの手のストーリーあるあるですね。

ライバルが主人公に挑んで主人公がそれを倒す、という王道アニメ(ライバル側が挑戦者なのでキャプテン翼タイプか)に、細かい点を突っ込んでも野暮なのでこれくらい。

自分的には、手許にコミックスがあったアマチュア選手権、特に登場していた剣崎&大神への思い入れが強いので、アニメ版でアマチュア選手権がかなりあっさりと流されていたのが残念でした(特にその後のドラゴンとの戦いやシャドウマスターズがみっちり描かれていたので)。17番の上か下か、なんてのも、特に攻めなかった大神の後悔あたりはもうちょっと掘り下げてほしかったけれど、キャラとして人気なかったのかな?プロテストでも完全にモブで、なんで最後大神じゃなくて剣崎が最終組になったのかもよく分からなかったし(大神がスコア落としたのを見逃したかな?)。日影のリタイア理由はアニメで知りましたが、あれって完全にコース側の安全管理に問題がある事例で、しかもそれで首位タイの選手がリタイアを余儀なくされてるってちょっと大会として問題が大きすぎないですかね。猿が賭けゴルフしてたとかそういう次元とは別に、マスコミから袋叩きだったんじゃないでしょうか。

いずれにしても、こうして本当に断片中の断片しか知らなかったマンガの全貌が、30年以上経ってから判明した、というのは個人的にはなかなか感慨深いものがあります。じゃあコミックスを大人買いするか、というとなかなかそこまで手が回らないのですが……。

最後におまけのように追加するのは大変失礼なのではありますが、「つむじ風舞うティーグラウンドで〜」という、なんかよく分からんけど凄いことが起こってそうな主題歌、歌詞もそうですが、曲も王道アニメっぽくて印象的です。素晴らしい作曲家、小林亜星さんのご冥福をお祈りいたします(話をシンコウ軍団に寄せなかった自分は成長しているのだろうか)。

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