第1の舞台(清水寺)

 いまさら書くまでもありませんが,競輪は瀕死です。瀕死の競輪の中でも,京都向日町競輪場は瀕死度合いが高いです。つまり,瀕死中の瀕死,来年の今存在しているかどうかは分かりません。
 で,そうであれば1回行ってみたくなるのが人情ってものです。
 そんなわけで,無理矢理予定を突っ込みました。土曜夜に夜行で京都入して,そのままちょっと京都と向日市を観光して競輪場。我ながら完璧すぎる予定です。雨予報に若干心が折れそうになりましたが,気にせず決行。

 で,夜行は前回の岸和田のときと同様に大阪バスを利用。
 完璧な予定を立てたはずなのに,いきなり枕忘れという失敗を犯しましたが,まあ静岡SAで買えばいいか……と思っていたら,なんと今回はノンストップ(正確には乗務員交代で2回ほど止まるけれど,客は降車禁止)。予定が思いっきり狂いました。なんせSAで買う気満々だで,飲み物も買ってないし。それにしても,岸和田から1ヶ月もたっていないのに,なにが起きたんだろうか。それとも,前回が特別だったのかな?大阪バス単独運行だから会社の違いってこともなさそうだし……。いろいろ謎は深まりますが,まあおそらく誰か客を置いて出て行ったか客が戻ってこずにドカ遅れしたかってあたりなんではないでしょうか。
 それにしても,飲み物なしはともかく,枕なしはきつい。やはり枕は鞄に常備しておかなきゃダメだな……。

 そんなこんなで,早朝の京都駅に到着。夜行バスで早朝京都って過去にも経験あるのは間違いありません。しかし,いったいいつのことだったか思い出そうとしたけど確信が持てません。多分小倉→京都のときだったと思うんだがな。と思って当時の旅行記を見てみたら,ビンゴでした。しかも前回も枕忘れてたみたいです。ううむ,京都の壁は高い。

 さて,早朝京都で何をするか,というのはよく話題に上っているようで,Yahoo知恵袋なんかにも同種の質問がのっておりました。調査の結果,清水寺という超有名寺院が6時にオープンということ,清水寺方向に向かうバスが5時30分過ぎに始発であるということが判明。おお,我ながら完璧な予定だ。
 てなわけで,5時くらいに京都駅に到着し,5時30分までバスを待ちつつ携帯をいじっていたところ……ブットバセ号の京都出走の事実を知り,予定を大幅変更。とりあえず清水寺には行くとして,その後は淀直行。淀から水無瀬経由で向日町ならそこまで時間がかからない。てな感じに,急に予定を再構成。うむ,こういうドタバタ予定変更は前向きの変更なら非常に楽しいです。

大阪バス 早朝京都駅

 さて,そんなこんなで清水寺に向かっている途中で雨が降ってきたので,コンビニで傘購入。雨の中茶わん坂という坂を歩いて行きます。このへん,京都の詳細な旅行誌を読んでいないので,茶わん坂という坂の存在も当日知っております。
 で,清水寺に着いたところ……開門が6時ではなく6時30分との表示。ううむ,雨じゃないなら適当にどこかに座って本でも読むところなんですが,雨だとつらい。仕方がないからそこらのお店の軒下で雨宿り。雨宿りのために坂を下るのが精神的にきつい。

茶わん坂 由来 茶わん坂 開門は6時30分

 さて,6時30分になったので再度山登り。
 見えてきました,清水寺(何を持って「清水寺が見えてきた」と言えるのかには議論もあるでしょうが,自分としては何らかの大きな建築物が見えてきたら「寺が見えた」と思ってます)。赤い門やその前の獅子が気になるところですが,まずはその脇にあるお堂へ。明治中期に院内整理が行われて善光寺如来堂を合併,とあります。神社の合併ってどんな雰囲気で行われるんだろうか。

地蔵院善光寺堂 首振り地蔵
本当に首が回ります
内部

 さて,よーやく清水寺。さらっと建っている馬駐も重要文化財指定を受けているってのが京都の奥深さですな。
 で,仁王門(色が鮮やかすぎて訪問当時は知りませんでしたが,重文らしい)をくぐって先に進みます。仁王門は見るからに新しいですが,いつの創建なんでしょうか。また,中の仁王様は鉄壁ガードをされていて,全体像がよく見えず残念。
 ちなみに,雨の中,傘でレンズをガードしながら写真をぱちぱちやってるので折に触れて写真が曲がっております。まあ,このへんが素人の限界ってことであります。

馬駐 仁王門 獅子 仁王門 横から

 そして,さらに門(西門)と三重の塔が見えます。こっちは仁王門とはうって変わって,年季の入ってそうな色調。西門は閉鎖されており,横から境内に入っていくことになります。「西門が閉鎖」と聞いて多摩川競艇を思い浮かべるお馬鹿さんは世の中に何人くらいいるんでしょうかね。もちろん,閉鎖の理由が180度異なるんだけれど。
 随求殿では胎内めぐりができるようですが,さすがに早朝営業はしていないようなので後回し。先に進みます。三重塔や西門も,雨なので装飾を細々見る余裕もなく,パス。
 三重塔も西門も経堂(講堂)もすべて重要文化財のようであります。いやはや,こうやってさくさくっと重文が登場するのが清水寺のすごさ,京都のすごさであります。

西門と三重塔 梵鐘。平成19年寄進と,新しいです 随求殿 三重塔 お地蔵様。縁起は分からず
三重塔 西門 西門から外を望む 経堂 経堂と三重塔

 で,濡れ手観音を拝んで,いよいよ有料コーナーへ。この濡れ手観音様,柵に囲まれて厳重な警備態勢を敷かれているのにもかかわらず,周囲に解説がなくていったいなんなのか気になっておりました。で,あとで判明したのでありますが,清水寺奥の院が絶賛工事中なのでここに臨時移転しているという事情のようであります。しかしまあ,この日は雨だったのでまわりの水なんかとは関係なく観音様は水をかぶっていたのでありました。あと,観音様の横には「ぬれて観音」と濡れ手がひらがな表記でありました。清水寺公式ページ上で「濡れ手」と漢字表記なのでこの表記で間違っていないとは思いますが,考えてみたらなぜ「手」を濡らすのにこういう構造なのかよく分かりません。「濡れ手」でなく「濡れて」なら分かるんだけれど。このへん,おそらくしっかり調べれば縁起からなにから簡単に見つかるんでしょうが,しっかり調べる気力がありませんので今日はおひらき。
 あと,さらっと建っていて見た限り一般客から全く相手にされていなかった田村堂。どうも開山堂の異名をもっており,かなり重要な建物のようですが,悲しいかな,みんなスルー。せめて解説くらい前に立ててほしいところです。ところで,田村堂の田村は坂上田村麻呂の「田村」だと思慮するわけでありますが,「坂上堂」ではなく「田村堂」になるんですね。いまいちこの当時の名前の意味がわかっていないのでありました。この田村堂,どうも2009年に99年ぶり!に開帳されていたようです。おそらく,今後,自分が生きてる間に開帳されることもないんだろうな。特に中を拝観したいわけではないのですが,なんか「次がない」と思うと,見たくなってしまうのが人情なのであります。


濡れ手観音 田村堂 世界遺産! 本堂へ 手水

 さて。いまいち清水寺の全体構造を把握せずにここまできてしまったのでありますが,入場門で拝観料を支払い(門の名前は轟門というらしい。これも重文だとか…),回廊を歩くと,あらあら,あっという間に本堂であります。自分が建っているのがかの有名な「清水の舞台」であるということに気付くまでに1分ほどかかってしまいました。
 清水の舞台から見下ろす景色は京都とは思えないものでありました。10月末だとまだ紅葉前ですが,紅葉が進んだらさぞかし綺麗に気が彩られるんだろうと思います。
 それにしても,京都にあって清水寺といえば外国人観光客も多いだろうと思いますが,もうちょっと外国語の案内板増やしてあげてもいいんじゃないでしょうか,とちょっと前まで海外旅行してたNPは思うのでありました。
 そして,本堂で拝んでいると,遠くから般若心経が聞こえてきました(なお,ほかのお経も流れていたかと思われますが,NPが認知可能なのは般若心経だけなのです)。どうも,音羽の滝方向からです。なるほど,6時30分開門だと,お坊さんたちの朝のお勤めがまだ終わる前なんだろうな。

回廊 あっというまに本堂 名前忘れた 昔の柱 出世大黒天
本堂舞台について 清水の舞台からの景色 本堂について
本堂 舞台 見下ろす 本堂 入場券
栞に使えるようになってます
これは嬉しい

 その後,音羽の滝方向へ。地主神社も気になりましたが,神社に開始も終了もあるんだろうかと思いつつ,「終了しました」という表示をそのまま信じて中に入らず。
 音羽の滝に降りる階段でお坊さんたちとすれ違いました。どういう雰囲気で読経してるか見たかったけど,間に合わなかったかー。残念。
 で,音羽の滝。ドドドっと3本の水が流れています。これがかの有名な音羽の滝ですね。で,売店に「後ろのお不動さまにお願い事をして霊水をいただいてください」という張り紙があり,「後ろのお不動様」というのが売店の後ろのお不動様のことだと思って無駄に歩いてしまいました。なんでこんな勘違いをしたかというと,早朝なだけあって音羽の滝まわりが空いていて,まさか滝の後ろにあるお不動様を拝ませるためにこんな張り紙をするとは思わなかったのであります。あえて張り紙をするんだから,もうちょっと遠い場所にあって無視されているお不動様がいるに違いない,と思ったのです。
 で,そんなお不動様など見つからないのであきらめて滝へ。お不動様はここにおわしましたとさ。後日,清水寺の大混雑の写真なんかをみると,確かに後ろのお不動様が無視される状況も分かります。

地主神社
怪しい雰囲気
音羽の滝 後ろのお不動様!? お地蔵様なら発見した 逆角度から 下から本堂
これがお不動様です 昼間にここで般若心経読んだら大渋滞だろうな 紫外線滅菌される柄杓 下から 下から舞台

 で,ここまできて,「そういえばよく写真で見る舞台の姿はどこで見てるんだろうか」と疑問に思ったのであります。下から見上げても綺麗な舞台の木組みの写真が撮れる気配が無いんですね。
 で,あれは観光写真用になにか頑張ったのだろうと思い,とりあえず工事中の奥の院に向かってみました。奥の院は完全に工事中で,ご本尊への参拝も許さない状態。
 で,ここでした,よく見る舞台の風景が見られるのは。いやはや,絶景。美しい。混雑期だったら押し合いへし合いで写真撮るのに苦労するんでしょうが,雨の早朝なのでそんな心配なし。いやあ,いい景色です。風も通るので空気も気持ちよい。雨じゃなかったらのんびりしたいところでありました。

石塔 地蔵堂 本堂 音羽の滝へは車いすでも降りられます 工事中の奥の院
奥の院欄干からの景色 工事中です

 で,奥の院を抜け,下っていきます。
 清水寺ってあちこちにお地蔵さんがあります。どなたが寄進されたのかよく分かりませんが,面白いですね。
 で,子安堂へ。ここも工事中で,スルーしようかと思ったのですが,なんかここからの景色がいいとかいう看板が出ていたので釣られてみました。うむ,確かに本堂と三重の塔が1枚の写真におさまるいい眺め。できれば手前の木にはもう少し空気を読んでもらいたかったところですが。
 それからお稲荷さんによりつつもう1回音羽の滝に戻ってきました。ううむ,またこの階段をのぼるのか……と思ったら,帰りは別ルートのようです。確かに,混雑期は人の流れを一方向にしておかないと大変だろうな。よかった,階段はいらないのか……と思ったですが,地主神社に寄ってみたかったので結局のぼってしまいました。ちなみに,本堂を抜けたところの売店は7時30分過ぎくらいから仕事を始めていたようでした。音羽の滝向かいのお店は8時になってもあいてませんでしたが。

伝福禄寿とお地蔵様たち
道教の影響がみられるらしいですが,素人には分かりません
子安堂
工事中であります
子安堂からの景色
本堂と舞台と三重の塔が美しい
お稲荷さん お不動さんもいます
キツネ
賽銭箱がないので足元に小銭
お社 奥にはいくつかの石碑と石仏 お地蔵様
前掛けがカラフル

 てなわけで,地主神社アゲイン。
 なんか,一般に神社からイメージされる「荘厳」のようなイメージとは対極にある外観をしております。いいのか,これでと思いつつ,中に入っていきます。
 一般に,「珍寺」というのはよく見ますが「珍社」というのはあまりみません。せいぜい狛犬にチ●コがついてるとかそういったレベルです。いやあ,面白い神社だ。
 それにしても,ここまで思いっきり商売っ気を前面に出してくる神社も珍しいのではないでしょうか。ほんと,ここまで縁結びや良縁祈願をアピールされると,「実は何もないんじゃないか」と疑いたくなってしまいます。いやだって,ここより出雲大社の方が御利益ありそうじゃないですか?

再度地主神社 おみくじ日本一を誇ります 「パンフレット」という
現代語が神社らしくない
賑やか 大国主命
はいいとしても
横の兎はこれでいいのか
おみくじとお守りを猛烈プッシュ
恋占いの石 お守り!お守り! 天井龍 解説 地主桜 地主桜について
八重と一重の桜が同時に咲くらしい
落ち着いて拝めません 京都市による解説
縁結びはおまけの扱い
お稲荷さん

 で,また階段をおりて,帰ります。
 途中,日本庭園っぽい雰囲気の場所がありました。紅葉の季節だったらさぞかし綺麗なんだろうな−。

池。紅葉が中途半端 三重塔を見上げる 石塔 木々越しに三重塔
紅葉していればさぞかしきれいかと

 そんなわけで,戻ってきました。めでたしめでたし。
 あとは,さっき見逃した随求殿を見に,成就院庭園が何かの間違いで見られることを祈って左方向からのぼっていきます。
 ここに,とてつもなく前掛けがカラフルな地蔵群がありました。これは凄い強烈。
 で,成就院は当然のように門を閉ざしており,随求殿の胎内めぐりが始まる9時まで待っていられないので一応上がってご本尊を拝むだけで終わったのでありました。

明るくなって仁王門 大講堂 春日社 中興堂
カラフル!なんなんでしょうか,これは 成就院

 そんなわけで,京阪の駅を目指して坂を下っていきます。

第2の舞台(淀)へ

旅行記TOP